2007年5月22日火曜日

なぜ日本型組織では戦略が不全になるのか? 三品先生の戦略不全の論理考察



日本企業では、現場のモチベーションは高いけれども、企業全体として、活動の統合がなされず、すなわち企業としての戦略がないとされています。

戦略不全の論理では、なぜそのような事になるかを論じています。本当に戦略がないのか、という命題については、データを用いて検証しており、1960年代から、一貫して日本企業の売上高利益率は低下し続け、逆にアメリカ企業は上昇を続けているグラフが提示されています。日本企業は高度成長期に飛躍的に発展したとされていますが、実は累積生産量の増加とともにコスト削減が図られる一方で、慢性的な低収益にあえいでいたというのが、現実です。1990年代は失われた10年といわれていますが、それは必ずしも正しくなく、90年代はバブル崩壊の後遺症でしかなく、慢性的な低収益体質は、高度成長期を含む40年間一貫して続いていたものでした。

実際のケースとしては、コマツとキャタピラーに焦点を当てて考察がされており、キャタピラーのCEOがその在位17年一貫して、ひとつの戦略「行き詰まりを見せている米国市場ではなく、70%以上の道路がある、途上国を含む世界戦略で、収益性を確保する」を追求しているのに対し、コマツは17年間で4人の社長が交代し、それぞれが会社に対する思いはあるものの、全体を統合し、数十年かけて高収益を上げるような戦略ではなく、それらの思いを代弁するためのペットプロジェクトを抱えていたことがあります。

なぜ、このようなことが日本型企業では起こりえるのか??

一言でいえばそれは戦略が難しいからであり、ボトムアップでは戦略志向にはなじまず、部課レベルでは全社を統合する戦略にはならず、戦略は駅伝ではなくマラソン型であり、トップ交代が頻繁ではその継続性が保たれないことなどが挙げられます。

そもそも戦略不全には2種類あり、ひとつは慢性的戦略不全であり、これは日本企業に特徴的なもので、もうひとつは急性戦略不全とも言うべき、アメリカ型の戦略不全で、これはトップが現場の作業に理解がないために、頓珍漢な戦略を立てるために、逆に戦略が実行されない事があります。アドバルーンのような戦略を立てた例として80年代の日産などの例が挙げられています。

そもそも、日本企業がボトムアップ型の意思決定を行い、経営者も長い年月をかけて選別させらられるのはひとえにモチベーションを維持するためであり、ゆえに日本企業は戦略性を犠牲にしてきたと考えられます。逆にアメリカ型のファストトラックでは、経営者はMBAをとりその道だけをすすみますが、ビジネスの現場を経験しないので、頓珍漢な戦略と現場への敬意を欠いた経営者だけが拡大再生産されるという現実があります。

どちらが良いかは一概にはいえませんが、企業は横並びではなく、自社の置かれた環境にかんがみて、戦略性をどの程度とりいれて行くかを考えなければいけません。

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