2007年5月20日日曜日

コア・コンピタンス経営再考

自分の研究領域は、シリコンバレー型企業のアライアンス戦略、戦略的アライアンスですが、その分析のフレームワークではG.ハメルのフレームを使用して進めています。そもそも、戦略的アライアンスが昨今、このように興隆してきたのは、企業が自社のコア・コンピタンスへ資源の投入を加速してきたからであり、アライアンスの増加、アウトソーシングの増加はすべて、コア・コンピタンス経営の浸透が原因ともいえます。

原書のコア・コンピタンス経営を読んでみると、むしろコア・コンピタンスというキーワードはあまり前面に出ておらず、むしろ未来へ向けた戦略と言うことが強く書かれています。

未来へ向けた戦略とは、
  1. 未来をイメージする能力
  2. 構想を展開する能力
  3. シェア争いをする能力

を順番に展開するものをさし、これを戦略計画に落としこむことが重要となっています。その際の指針は、自社の経営資源に整合性を取るだけでなく、ストレッチした目標を定めるストレッチ戦略、ストレッチ戦略を実現するために、既存の資源を有効活用するリバレッジ戦略です。

未来をイメージするためには、子供の目をもって謙虚に、既存の商品の枠組みを超えて、発想して産業の未来をイメージすることが重要と書かれています。多くの日本企業では、このような能力はあまり高くなく、具体的な能力のイメージがわきづらいと思います。しかし、私の研究対象のシリコンバレー型IT企業では、むしろこの能力があるからこそ、ある程度の規模まで成長できることが多いと思います。

つぎに構想を展開する能力の段階で、コア・コンピタンスへの資源の集中と、一社で製品・サービスの価値連鎖を完成させることは不可能であるので、企業提携を行う必要があるとしています。能力構築戦略と、それ以外の要素の企業連携で手に入れる方法、シリコンバレー型企業の中でも得意とするところと、そうでないところが分かれる部分になります。

自分の研究対象の企業は、未来を描く能力はすばらしく、かつすばらしいコア・コンピタンスがありながら、それをうまく価値連鎖に結びつけるための企業連携の能力が衰え、伸び悩んでいるのが現状です。

ビジョンがすばらしく、かつ企業連携を効果的に行った例として、最近のよい例ではiPodの成功があります。Appleは価値連鎖のなかで自社が行う要素を最小にしながら、未来をみとおす能力と、企業連携を促す能力で、iPodを世に送り出しました。

未来へ向けた戦略の最終段階で、シェアをめぐる競争が登場します。G.ハメルによれば、従来の戦略論では、このシェアをめぐる競争に過度に注目し、その前段階の考察が抜け落ちていると指摘しています。シェア争いにいたるまでには、いくつかの段階を経ているはずで、その部分をきちんと構築する能力がなければ、シェア争いに突入したときに敗退するとしていますが、理解ができる論調です。

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